だいたいのモノにはパターンがあります。
ガンダムは中盤になると機体を乗り換えるし、ウルトラマンは一回ピンチになってから反撃して勝利します。
腰痛にもパターンがあります。
人間のカラダの構造上、どうしてもバランスがゆがんだ時のための予備があるのですが、そこが特に痛んでしまいます。
腰痛で痛めやすい場所、それが「多裂筋」です。
「脊柱起立筋」のグループの中の1部分の「多裂筋」です。
まず、専門家でないと聞いた事がない筋肉名だと思います。
自分も腰痛患者だった頃には、1回も聞いた事がなかったです。
資格取得のために行っていた学校でも、教師はこの筋肉をさわりだけ説明しましたが、くわしく教えることはありませんでした。
国家試験でも出てきません、ドケルバン病やチネル徴候などの有名どころよりも、試験の重要度としては低いです。
なので、フツーの接骨院や鍼灸院では、多裂筋を意識した施術をやっている先生って少ないかも知れません。
腰の腰椎あたりの筋肉って、複雑に何層にも重なっています。
だから、正確に多裂筋の位置を狙わないと、指圧でも鍼でも効かせることはできません。
逆に考えると、ここの筋肉の存在を知っていて、なんらかの施術が出来る先生なら、腰痛をなおせる治療家と言ってもいいと思います。
効果的な施術なら、すぐに効果を感じますので。
痛みがすべて無くなる…までは行きませんが、軽減した!とか、歩ける!程度ならイケます。
多裂筋、そのなかでも特に腰痛で異常を起こしやすい場所があります。
腰椎の3~5番の両ワキ、そこの背骨の中心方向にナナメ45°、さらに数センチ奥の場所がまさに一般的な腰痛のセンターです。
腰痛の時に押されると
「そこ!!!」
と言ってしまうトコです。
なんでか、というと、腰は常時ひっぱられたり支えられたりしていて、動きながら止まっているような状態なんですね。
骨とか軟骨とか靭帯は、まぁ、通常、動かないように支えている、と思ってください。
筋肉は、ザックリいうと、つねに引っ張り合っている状態なんです。
で、筋肉のバランスを崩すところから、具体的な腰痛が始まります。
腰回りの筋肉には、二大勢力があります。
上半身を支える「腸腰筋」グループと。
下半身を動かす「殿筋」グループです。
どっちかが強すぎたり弱すぎたりすると、骨盤とか背骨とかのバランスがくずれます。
まったく同じ強さ、にはならないので、あるていどバランスを取るグループも存在します。
そのうちの中心人物が多裂筋なわけです。
この人があちこち根回ししているうちは平和なんですが、グループどうしのいざこざが多発しすぎて、忙しさの限界を超えてしまうと、多裂筋さんがまず倒れてから弱いグループも駆逐されちゃいます。
いないと困るのに、大事にされていない苦労人です。
他を支えすぎて疲労困憊してしまい、ひんぱんにガチガチになります。
ほぐして血行をよくして、痛みや動きづらさを改善してあげるのが腰痛回復の第一歩です。
仲立ちする人間が一番苦労してしまう…というなんとも切ない事実でした。
腰痛になりましたら、そこのところを理解してくれる先生の所に行きましょう。