
今月に入って、駅ビルで最近のランドセルを見かけました。
容量が増えていながら軽量化、背中のクッションも良いモノになっていて、数十年前の自分の時よりも高性能に。
ですが、治療院で腰痛の子供を見かけるようになりましたし、テレビでも小学生の腰痛を取り上げるくらい「小学生の腰痛」が問題になってきています。
今回は、小学生に増えている腰痛の「原因と対策・改善」方法について、困っている方向けに参考になるように書いていきます。
もくじ
- 日本のランドセル事情
- アメリカのバックパック事案
- イングランドの研究
- 文部科学省のデータから
- 神保の推測する原因
- 腰痛に対する対策・改善法
- 重い荷物の背負い方のコツ
1.日本のランドセル事情

冒頭でも書きましたが、現在、ランドセル自体はそうとうに軽量化されています。
軽いのは1キロ切るくらいです。
重さの原因は、ゆとり教育後としては教科書が最高に重くなっているんですね。
2011年度から学習指導要綱の改定で教科書が厚く大型化しました。
上下巻のものが、厚い1冊になるなど、内容がふえました。
例えば、教科書出版「学校図書」の6年生の理科の教科書。
一番軽かった2002年はb5サイズ(18.2cm×25.7cm)で2冊あわせて100㌻でしたが、
最新版はAB版(21.0cm×25.7cm)1冊で217㌻と、ページ2倍で面積も増えてます。
非常に重いです。
さらに、ランドセルの容量が増えたのは、プリント用紙などがA4対応になったのもあります。
パソコン以前は、もらうプリントはペラペラのB5でしたが、今は上質紙のA4です、これも重い。
たとえば、角封筒だけなら軽いけど、パンフレット数枚いれるとそれなりの重さになるじゃないですか。
しっかりしたプリント用紙がタバになったら、大人でも重いです。
大正大学の白土健教授が、2017年11月に世田谷区の学童保育の協力で、小学生1~3年生20人のランドセルの重さの調査をされました。
結果は
一番重い9.7kgのランドセルを背負っていたのは、
1年生の体重20.8kgの女の子でした。
1つの例として。
かなり鍛え込んであるイモトアヤコさんでも、南極で自分の体重の半分も荷物を背負っていないです。
なぜならば、自分の背負える荷物には限度があるからです。
ほぼプロ冒険家のイモトさんでも、限度を超えての荷物は危険。
体格の出来上がっていない子供に負荷をかけさせるべきではないです。
そもそも、バックパックの基本ルール、「荷物は体重の10%まで」すら守れてません。
ランドセルのルールを変えるべきです。
2.アメリカのバックパック事案

アメリカでは、教科書を個人で買うのは少数派です。
有料レンタルでして、学校に置きっぱなしです。
しかも、多くの州で、教科書を使い始めるのは小学3年生から。
事情が違いますね、なかなかに合理的です。
中学生くらいから勉強も本格的になってきて、教科書を持ち運ぶようになり、重さの影響が出始めます。
2000年代に学生の「バックパック痛」が話題になったようです。
キャリーバッグでは学校のロッカーに入らないので、背負っていくのだとか。
そこでの結論でも「荷物は体重の10%以下」が推奨されるようになりました。
シカゴなどの私立の中学では、教科書入りのノートパソコンを入学時に配布する所もあります。
たいてい、学校でPCのメンテナンスもしてくれるようで。
お金で荷物の負担を解消しています、合理的。
3.イングランドの研究

イングランド北西部の中学校2つを対象にした研究データがあります。
low back pain in schoolchildren
http://adc.bmj.com/content/88/1/12
和訳すると「生徒の腰痛」
11~14才の1450人弱を対象に、アンケートと5日間のレポートを行いました。
平均の重さは4.5kgでして、2kg~6kgの荷物を運んでいました。
ここでは「重さに因果関係なし」と結論づけたようです。
6歳の少女に9kg背負わせた日本では、参考にならないか?
イングランドの中学生で、体重50kgは過半数いると思われます。
「体重の10%以下」を守っているとしたら腰痛とは無縁、との見方も出来るんじゃないかと。
4.文部科学省のデータから

日本のデータもあるので、引用してみましょう。
文部科学省の統計情報から
「平成20年度体力・運動能力調査」の概要
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/1285611.htm
(最新版でも10年前ですが…)
結論から申しますと
昭和60年との比較では、まだ低い水準の体力ですが、最近10年とくらべるとちょっと向上してるゾ!
ってトコです。
ただ、スマホの流行る前なんで、現状とあってないかもしれないのが引っ掛かります…
5.神保の推測する原因

で、以上いろいろなデータを上げてみましたが、それをふまえた上&施術してきた腰痛小学生の原因などを含め、推測してみました。
- そもそもランドセル重すぎ
- スマホなどによるストレートネック
- 中学受験対策などでの塾通いで長時間の不良姿勢
- ランドセルをうまく使えてない
推測ですが、精度高いと思います。
数年前、実際に施術した腰痛の女の子は
「学校以外にも1日6時間の勉強」
「休日はバレェ教室」
というハードワークで、小5で腰椎分離症になってました。
都内の中学受験問題も根が深いのですが、ここでは割愛いたします。
6.腰痛に対する対策・改善法

まずは「体重の10%以上の重いランドセルを背負わない」です。
教科書を2つ買って、ひとつは学校に置きっぱなし等、荷物をへらしましょう。
あとは、勉強やスマホなどでの不良姿勢の対策です。
過去記事も参考になるので、一緒に見てみて下さい。
・プランクなどで体幹の強化をする
ウエイト使用の筋肉強化は、成長期の骨格に異常が出やすいです。
なので、自重を使った体幹強化がおすすめ。
成長期のお子さんでも無理なく強化できます。
・ストレートネック改善に「丸めたバスタオル枕」を使う
不良姿勢からの頚椎のゆがみも腰に悪影響です。
とくに長時間机に向かうお子さんには、頚椎の負荷を減らしてあげたいです。
・筋肉の疲労が回復しきらないうちに負荷をかけるならサポーターやベルトを使う
筋力強化・姿勢改善には数か月かかります。
その間、サポーターで補助してあげると、お子さんも苦しまずに学校に行けます。
昔ながらの武骨なデザインもいいですが、今ではオシャレなデザインのサポーター専門店もあります。
下にリンク先を貼っておきます。
ご覧になるだけでも参考になりますので、どうぞ。
先進のリハビリテーション医学が生んだサポーター【Marumitsuオンラインショップ】を見てみる
などの対策が出来れば、重いランドセルも怖くないです。
それでも腰痛になったら、腕のいい整形外科や腕のいい接骨院・鍼灸院・整体院に行って欲しいです。
子供が腰痛で…と、電話して、親身に聞いてくれる院がいいです。
7.重い荷物の背負い方のコツ

最後に、重い荷物を背負う時のコツをのせておきます。
・背中と荷物の間にスキマを作らない
・重いモノは荷物の上の方に持ってくる
ランドセルのベルトは、ちゃんと合わせて使いましょう。
キツすぎてもユルすぎても、フィットしないと使いづらいです。
あと、出来る範囲で重いモノは上に積みましょう。
登山のパッキングで使うテクニックです。
ランドセルを見かけてから色々と調べたら、現在の事情は大変なことになっていました。
まず重さの対策。
次に姿勢や筋力の対策・改善。
痛みがつらいうちなら、腰痛ベルトを使いましょう。
お子さんがカラダの不調を言う時には、必ず原因があります。
肉体的なものなら、なるべく早く対策をしてあげますと姿勢のゆがみの対策にもなりますので、早めにやってあげてください。
女の子は姿勢不良からの側彎症に発展してしまうケースが多いです。
将来、水着を着るとき、胸元の空いたドレスを着るとき…不安や恐怖が出てしまうかもしれません。
そんな不幸なことは起こさない方が世の幸せです。
たかが子供の腰痛…と軽く見ないでいただければ、と思います。
以上、乱筆乱文ですが参考にしていただけたらうれしいです。